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JAMA_様々な臨床検体における新型コロナウイルスの検出率

翻訳日:2020/03/29

原文: Detection of SARS-CoV-2 in Different Types of Clinical Specimens

表1.  PCRによる臨床検体の検出結果

*略語: ND、データなし。

Research Letter

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2 (SARS-CoV-2)が原因の呼吸器疾患の流行は中国で始まり、ほかの国々へ広がった。1 鼻咽頭スワブのリアルタイムの逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(rRT-PCR)により、典型的には臨床診断が確定できる。2 しかし、他の箇所からの標本でウイルスが検出されるかどうか、つまり、呼吸器飛沫以外の方法で感染する可能性があるかどうかはまだ知られていない。

方法

症状や放射線検査でコロナウイルス疾患2019 (COVID-19) と診断された、またはSARS-CoV-2が検出されて確定となった入院患者から様々な組織を採取し、SARS-CoV-2の生体内分布を調査した。この研究は、参加した病院の倫理委員会で承認され、インフォームドは不要であった。

患者は、臨床的適応に基づき、中国の湖北省、三頭省、北京にある3つの病院において、2020年1月1日から2月17日にわたり、検体を採取された。ほとんどの患者において、入院後1-3日の間に咽頭スワブが収集された。血液、痰、便、尿、鼻汁の検体は、罹患期間中に採取された。気管支肺胞洗浄液や気管支鏡下擦過生検は、重症患者や人工呼吸器装着中の患者から採取された。RNAは、過去の論文で述べられているように臨床検体から抽出され、SARS-CoV-2のオープンリーディングフレーム1a遺伝子をターゲットとしたrRT-PCRにより特定された。2 rRT-PCRのサイクル閾値は標本に含まれるSARS-CoV-2 RNAのコピー数の指標として用いられた。サイクル閾値が低ければ低いほどウイルスコピー数は高値である。サイクル閾値40未満であると、SARS-CoV-2 RNAは陽性と判断される。コピー数の多い便検体4つはSARS-CoV-2陽性であり、培養され、生存するウイルスを検出するために電子顕微鏡を用いて観察した。複数の検体を入院中に収集された患者のサブグループにはパターンがあることがわかった。

結果

COVID-19患者205人から1070個の検体が集められた。患者の平均年齢は44歳(5-67歳)、69%が男性であった。ほとんどの患者が発熱、乾性咳嗽、倦怠感を訴え、19%の患者は重症であった。気管支肺胞洗浄液の検体からは、最も陽性率が高く(15件中14件、95%)、次いで、痰(104件中72件、72%)、鼻スワブ(8件中5件、63%)、気管支鏡下擦過生検(13件中6件、46%)、咽頭スワブ(398件中126件、32%)、便(153件中44件、29%)、血液(307件中3件、1%)であった。72件の尿検体では、いずれも陽性とならなかった。(表1)

全ての検体の閾値の平均値は、鼻スワブの閾値は24.3, 1.4×10*6 copies/mLと、高いウイルス量を示しそれらを除くと、30 以上、つまり2.6×10*6 copies/mL未満であった。(表1)

20人の患者は、2-6個の検体を同時に採取された。(図2)ウイルスのRNAは、6人の患者ではそれぞれ一つの検体(気道からの検体、便または血液)から検出された一方、7人の患者では、気道からの検体に加え、便(5件)または血液(2件)からウイルスが抽出された。生存するSARS-CoV-2は、下痢症状のない2人の患者の便検体で認められた。

図2.  SARS-CoV-2入院患者20人の分布とウイルス排出パターン

Cycle thresholdの値は点線より上がSARS-CoV-2 RNA陽性と考えられる。逆に点線より下は陰性と考えられる

考察

本研究では、SARS-CoV-2はCOVID-19患者205人の複数箇所からの検体で検出され、気道からの検体は少ないものの、ウイルス陽性率は最も高かった。重要なことに、生存するウイルスは便で検出され、これは、SARS-CoV-2は糞口感染する可能性があることを示唆する。血液検体でPCR陽性となった件数は少なからずあり、全身へと広がりうることも推測される。呼吸器ルートと別ルートでのウイルス感染は、疾患の迅速な広がりにつながりうる。さらに、複数箇所からの検体の検査を行うことで、感度は上がり、偽陰性の結果が減少した。本研究より規模の小さい2つの類似した研究では、湖北省では、16人の患者から、肛門または口腔スワブに加え血液中にもウイルスが存在したと報告し3、感染確定の17症例のうち咽頭スワブと痰のウイルス量を報告した4

本研究にはリミテーションがあり、詳細な臨床情報が得られない患者もいたため、データが症状や疾患の経過と相関しない可能性もあり、検体の採取箇所によっては検体数が少なかった。詳細な経時的データ、症状のデータを集め、様々な箇所から継続的に検体を採取するような、さらなる調査が求められる。

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Reference

  1. Tan W, Zhao X, Ma X, et al. Notes from the field: a novel coronavirus genomeidentified in a cluster of pneumonia cases—Wuhan, China 2019-2020. China CDC Weekly. 2020;2(4):61-62.
  2. Wang D, Hu B, Hu C, et al. Clinical characteristics of 138 hospitalized patientswith 2019 novel coronavirus–infected pneumonia in Wuhan, China. JAMA. Published February 7, 2020. doi:10.1001/jama.2020.1585
  3. Zhang W, Du RH, Li B, et al. Molecular and serological investigation of 2019-nCoV infected patients: implication of multiple shedding routes. Emerg Microbes Infect. 2020;9(1):386-389. doi:10.1080/22221751.2020.1729071
  4. Pan Y, Zhang D, Yang P, Poon LLM, Wang Q. Viral load of SARS-CoV-2in clinical samples. Lancet Infect Dis. Published online February 24, 2020. doi:10.1016/S1473-3099(20)30113-4

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テーマの著者 Anders Norén