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LANCET_中国武漢におけるSARS-CoV-2肺炎の臨床経過と結果:単一施設、後方視的、観察的研究

翻訳日:2020/03/05

Lancet Respir Med 2020 Published Online February 21, 2020

原文: Clinical course and outcomes of critically ill patients with SARS-CoV-2 pneumonia in Wuhan, China: a single-centered, retrospective, observational study

Xiaobo Yang*, Yuan Yu*, Jiqian Xu*, Huaqing Shu*, Jia’an Xia*, Hong Liu*, Yongran Wu, Lu Zhang, Zhui Yu, Minghao Fang, Ting Yu, Yaxin Wang, Shangwen Pan, Xiaojing Zou, Shiying Yuan, You Shang

概要

背景:2019年12月、中国武漢で重症急性呼吸器コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に関連する肺炎の発生が続いている。SARS-CoV-2感染の重症患者に関する情報は十分ではない。我々は、SARS-CoV-2肺炎を有する重症患者の臨床経過および結果を記述することを目的とした。

方法: 単一施設後方視的観察研究であり、2019年12月下旬から2020年1月26日の間に中国の武漢金銀潭医院(中国・武漢)の集中治療室(ICU)に入院したSARS-CoV-2肺炎の重症成人患者52人を登録した。人口統計データ、症状、検査値、併存疾患、治療、臨床転帰をすべて収集した。生存者と非生存者の間でデータを比較した。プライマリアウトカムは2020年2月9日時点で28日間の死亡率であった。セカンダリアウトカムとしては、SARS-CoV-2関連急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の発生率と、呼吸器を必要とする患者の割合が含まれていた。

結果:SARS-CoV-2肺炎の710人の患者には、52人の成人重症患者が含まれていた。52人の平均年齢は59.7歳 (SD 13.3)、35人 (67%) が男性であった。21人(40%)は慢性疾患を持っていた。51人 (98%)に発熱があった。32人 (61.5%)は28日時点で死亡しており、非生存者の集中治療室 (ICU)入室から死亡まで期間の中央値は7日 (IQR 3-11日)であった。生存者と比較して、非生存者は高齢者(64.6歳 [11.2]対51.9歳 [12.9])、ARDS (26人 [81%]対9人 [45%])を発症することが多く、人工呼吸器(30人 [94%]対7人 [35%])を用いることが多かった。ほとんどの患者は臓器機能障害を有し、ARDS 35例 (67%)、 急性腎障害15例 (29%)、心疾患12例 (23%)、肝機能障害15 例 (29%)、気胸1例 (2%)を伴う。37例 (71%)は人工呼吸器を必要とし、院内感染は7人(13.5%)であった。

解釈:SARS-CoV-2肺炎の重症患者の死亡率は相当なものである。非生存者の生存時間は、ICUの入室後1-2週間以内である傾向があった。併存疾患およびARDSを有する高齢患者(>65歳)は死亡リスクが高い。SARS-CoV-2肺炎の重症度は、特に十分な人員または資源が不足している場合、病院の救命医療資源に大きな負担を与える。

導入

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)肺炎は、武漢(湖北省)全体に急速に広がった新たな疾患である。1-4 2020年2月19日現在、中国本土では患者数が74,283人と急増しており、2009人(2.7%)が亡くなっている。SARS-CoV-2肺炎の臨床像は、軽度から重症の症例まで幅広い。これまでの研究では、SARS-CoV-2肺炎の患者の一般的な疫学的所見、臨床提示、および臨床結果のみ記載されている。1,2,5 重症患者を特徴付ける特定の情報は不明である。

SARS-CoV-2感染の重症患者の臨床的特徴と結果に関するデータは乏しいが、死亡率を減少させるために最重要事項である。本研究では、武漢金銀潭医院に入院したSARS-CoV-2肺炎が確認された重症患者を調査した。この研究によって導き出されるSARS-CoV-2関連の罹患率および死亡率データは、重篤な状態になる危険性がある人、集中治療により助かる可能性が高い人の早期同定のために、非常に価値あるものとなる。

方法

・研究デザインと参加者

SARS-CoV-2肺炎の患者を治療するために指定された病院である武漢金銀潭医院(中国・武漢)において、単一施設後方視的観察研究が行われた。武漢金銀潭医院で院内感染した医療介護者を除く全患者は、他の病院から搬送された。私たちは後方視的に観察し、2019年12月24日から2020年1月26日にかけて、WHOの暫定ガイダンスに従ってSARS-CoV-2肺炎と診断された重症患者を分析した。6 SARS-CoV-2感染の確定的な検査は、先に述べた通り、それぞれの地域の保健当局によって行われた。1,2 ARS-CoV-2感染の確定的な検査は、先に述べた通り、それぞれの地域の保健当局によって行われた。1,2 重症患者は、ICUに入室し、人工呼吸器が必要、または60%以上のFiO2が必要である患者と定義づけられた。7-9 利用可能なすべての電子カルテおよび医療資源を用いて、入院時の記録や病歴を見直し検討することで、重症患者の同定が行われた。2020年1月26日まで生存していた患者のついて、2020年2月9日に生存状況が確定された。

金銀潭医院の倫理委員会は、この研究を承認した (KY-2020-06.01)。この感染症が急速に出現したため、書面によるインフォームド・コンセントは放棄された。

・データ収集

検査によりSARS-CoV-2感染が確認された全患者において、臨床電子カルテ、看護記録、血液検査所見、放射線検査を検討した。これらの患者の入院時データを収集した。国際重症急性呼吸器および新興感染症協会の標準化された症例報告形式を改変し作成された、症例記録形式を用いて、データは評価および収集された。10 不十分、または不確実な記録は、関わった医療提供者や患者の家族と直接コミュニケーションをとり、収集され、明らかにされた。

以下のデータを集めた。年齢、性別、暴露歴、慢性疾患の既往歴(慢性心疾患慢性呼吸器疾患、脳血管疾患、慢性神経疾患、糖尿病、悪性腫瘍、認知症、栄養失調、喫煙)、発症から入院までの症状(発熱、咳、呼吸困難感、筋肉痛、倦怠感、鼻漏、関節痛、胸痛、頭痛、嘔吐)、ICU入院時のバイタルサイン(心拍数、呼吸数、血圧)、入院時の血液検査(ヘモグロビン濃度、リンパ球数、血小板数、動脈血液ガス、FiO2、酸素分圧PaO2)、乳酸濃度)、併存している感染症、治療(酸素療法、血管収縮薬、抗ウイルス薬、抗菌薬、副腎皮質ステロイド、免疫グロブリン)、ならびに生活状況。

SARS-CoV-2感染が蔓延し、重症患者はICUの収容可能人数を超えた。したがって、金銀潭医院に2つの暫定的なICUが緊急で設置された。よって、人工呼吸器の設定や記録の全ては残されておれず、数例のPEEPについてのみ記録されていた。日常的に、電子カルテは地域のサーバーに記録されており、そこからデータを取得した。

・結果

プライマリアウトカムは、ICU入室から28日間の死亡率である。セカンダリアウトカムは、SARS-CoV-2関連の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の発生率と、人工呼吸器を必要とする患者の割合とした。ARDSおよびショックは、新型コロナウイルス疾患2019(COVID-19) に関するWHOのガイダンスに従って定義された。6  急性腎障害は血清クレアチニンに基づいて同定された。11 心疾患については、高感度過敏性心筋トロポニンI(hsTNI)の血清濃度が、金銀潭医院検査室で測定した際に、基準範囲(>28 pg/mL)の上限を超えた場合に診断された。

・統計分析

この研究の目的は、研究期間における、この病院で治療された重症患者の臨床経過、臨床結果を報告することである。したがって、形式的な仮説は存在しないためサンプルサイズを拡大させられず、組入基準を満たした患者数を最大数とした。

カテゴリカル変数としての連続変数と数値(%)を、記述データを平均(SD)または中央値(IQR)として示した。生存者と非生存者の違いを次のように評価した。連続変数についてパラメーターを用いたデータと用いないデータに基づいて、カテゴリカル変数についてはフィッシャー正確確率検定に基づいて、2標本t検定またはウィルコクソン順位和検定を行った。生存データではカプランマイヤー曲線を使用した。

検定は、α有意水準を0.05未満に設定し、重要な両側測定を行った。Stata/IC 15.1ソフトウェア(StataCorp, College Station, テキサス,米国)を用いて、すべての分析を行った。

結果

2020年1月26日までに、710人がSARS-CoV-2による肺炎と診断され武漢金銀潭医院に入院し、そのうち、入院直後に心停止を起こした3人の患者を含め、658人(93%)が除外された。52人(7%)の重症患者が本研究に含まれた (図1)。全患者は武漢市の居住者であり、他の病院から搬送された。平均年齢は59.7歳 (SD 13.3)、27人 (52%)は60歳以上であった (表1)。35人 (67%)の患者は男性であった。17人 (33%)の患者には、華南海鮮市場への暴露歴があり、10人 (19%)がSARS-CoV-2への感染が診断された、または疑いの強い人への暴露歴があった。21人 (40%)は慢性疾患を持ち、うち7人 (13.5%)の既往歴に脳血管疾患があった。脳血管疾患を持つ全患者は、ICU入室28日後の時点で死亡していた。本研究の対象となった全患者は胸部X線で両側肺に浸潤影を認めた。

図1. 

表1.

最も頻度の高い症状は、発熱(98%)、咳(77%)、呼吸困難感(63.5%;表2)であった。52人の重症患者のうち、6人(11%)は SARS-CoV-2感染に関連する症状を発症して2-8日後までは発熱を認めなかった。発症から放射線検査で肺炎と確定されるまでの期間の中央値は5日(IQR3~7日)であった。発症からICU入院までの期間の中央値は9.5日(7.0-12.5日)であった。

全患者について、 Acute Physiologic and Chronic Health Evaluation Ⅱ (APACHE II)スコアを測定し、その中央値は17 (IQR 14-19;表3)であった。ほとんどの患者が臓器機能障害を有しており、35人(67%)はARDS、 15人 (29%)は急性腎障害、12人 (23%)は心疾患、15人 (29%)は肝機能障害、1人 (2%)は気胸を伴っていた (表2)。hsTNIの中央値は161.0 (IQR 41.8–766.1)pg/mLであった。院内感染は、7人 (13.5%)に起き、そのうちの1人 (2%)はカルバペネム耐性のクレブシエラが肺および血流に感染していた。5人 (10%)の患者の気道分泌物から他の微生物 が同定され、Aspergillus flavus, A fumigatus, 広域スペクトルβ-ラクタマーゼ(ESBL)陽性K pneumonia, ESBL陽性 Pseudomonas aeruginosa, ESBL陰性Serratia marcescensを認めた。これらの微生物はそれぞれが別の患者に見られた。Candida albicansは1人 (2%)の患者の尿培養で同定された (表2)。

33人 (63.5%)は高流量鼻カニュラ、37人 (71%)は人工呼吸器、6人 (11.5%)が腹臥位換気、6人 (11·5%)は体外式膜型人工肺 (ECMO)を使用した。9人 (17%)は腎代替療法、18人 (35%)はと血管収縮薬を用いた(表2)。23人 (44%)は抗ウイルス薬、49人  (94%)は抗菌薬、30人 (58%)は副腎皮質ステロイドによる治療を受けた(表2)。オセルタミビルは18人 (35%)に、ガンシクロビルは14人 (27%)、ロピナビルは7人(13·5%)に使われた。

表2. 

Primary outcomeについては、SARS-CoV-2感染による重症患者52名のうち、32人 (61.5%)は28日までに死亡しており、非生存者のICU入室から死亡までの期間の中央値は7日 (IQR 3-11)日であった(図2)。生存者と比較して、非生存者はARDS (26人[81%]対9人[45%])を発症することが多く、人工呼吸器の使用 (30人[94%]対7人[35%])についても非生存者のほうが使用頻度は高かった。人工呼吸器を要した37人のうち30人 (81%)が28日までに死亡した。

生存者20人のうち、8人は退院した。3人は、28日の時点で侵襲的換気が使用されており、そのうち1人はECMOも使用していた。また、1人は非侵襲的換気、2人は高流量鼻カニュラ、6人は一般的な鼻カニュラを使用していた。

図2.

生存者と比較して、非生存者は高齢 (64.6歳[SD 11.2]対51.9歳[12.9])であり、慢性疾患を持つ割合は高かった (17人[53%]対4人[20%];表1)。発症から放射線による肺炎の診断まで、発症からICU入室までの中央値は、両者とも、生存者と非生存者で有意差はなかった(表3)。非生存者では酸素の分圧(PaO2)とFiO2の比が有意差をもって著名に低かった。ICU入室時のAPACHE ⅡスコアとSOFAスコアについては、非生存者は生存者と比較し、より重篤な状態であった。コホート研究では、リンパ球数減少が44人 (85%)に認められ、これは両群で有意な差はなかった。生存者と比較し、非生存者においてARDSの発症率、侵襲的または非侵襲的な人工呼吸器の使用率が高かった。

表3.

考察

SARS-CoV-2感染が確定された52例の重症患者は重度の低酸素血症が特徴的であり、これらの症例について報告する。52例のうち、32人 (61.5%) が28日以内に死亡していた。対象患者全員のうち、37人 (71%) は人工呼吸器が必要であり、35人 (67%)はARDSを呈していた。

現時点ではSARS-CoV-2感染の治療には特定の薬物はないため、治療の上で重要であったことは支持療法であった。患者は隔離された上で治療を受け、密な接触は禁止された。重症でない患者については、短期間のうちにフォローアップすることがこの疾患を管理することに有用ある可能性が高い。1-3

しかし、重症患者の場合は、積極的な治療と集中治療が必要である。我々の知る限りでは、本研究はSARS-CoV-2に感染した重症患者の特徴を述べる最初の研究である。すでに発表されている、重症患者についての3つの研究では、患者数が少ないため、SARS-CoV-2による肺炎患者の特徴および死亡率を集約することは困難である。1,2,5

SARS-CoVおよび中東呼吸器症候群(MERS)-CoVと同様に、SARS-CoV-2はヒトに伝染するコロナウイルスであり、これらのウイルスはすべて重症患者において、高い死亡率を引き起こす。12

しかし、今回のコホート研究におけるSARS-CoV-2感染患者の死亡率は、以前発表されたSARS重症患者よりも高い。カナダの13の病院でのSARSに感染した重症患者38人についてのコホート研究では、29人 (76%)が人工呼吸器を必要とし、13人 (43%)が28日以内に死亡し、6人 (16%)は28日以降も人工呼吸器を続けて必要であった。8  シンガポール、香港のコホート研究では、それぞれ、SARS感染重症患者45人のうち17人 (38%)、54人のうち14人(26%)が、28日以内に死亡したと報告された。私たちのコホート研究では、死亡率は、MERS感染の重症患者の死亡率よりも高くなる可能性がある。サウジアラビアの2病院における12人のMERS患者についてのコホートでは、7人(58%)が90日以内に死亡した。本研究では経過観察の期間が他より短いため、28日以降の死亡率は、MERS感染より高くなっているのだろうと考えられる。

重症のウイルス性肺炎の主要な病態生理は、重症ARDSである。男性や65歳より高齢の患者は、女性や65歳以下の人に比べARDSを発症する確率が高い。18 したがって、重症SARS-CoV-2肺炎の28日時点の死亡率は、50%近くである重症ARDSの死亡率と同様である。17  SARS-CoV-2感染した重症患者数が大幅に増加する中、中国武漢ではより多くICUが暫定的に作られている。資格をもつ専門家たちが中国の他の省から武漢に集まり、現在、これらの暫定的なICU、発熱患者のための診療所、および新しく建設された病院で働いている。18 患者を治療する臨床能力が向上するにつれて、SARS-CoV-2肺炎重症患者の死亡率は減少すると予想される。

以前の研究で述べられているように、SARS-CoV-2の感染者は、70%近くが男性であった。1,2 

患者は以前の研究に比べ本研究では年齢層が高い。1,2 本研究では非生存者は生存者より高齢であった。以前の研究に基づくと、高齢で男性の患者がSARS-CoV-2感染の影響を最も受けやすいことが明らかになった。既に報告されている通り、脳血管疾患の既往歴のあ患者は、SARS-CoV-2に感染すると重篤になるまたは瀕死の状態となるリスクが高い。2,5

本コホートでは、発熱がSARS-CoV-2肺炎患者で最も頻度の高い症状であり、これは以前の研究結果と一貫している。しかしすべての患者に発熱があったわけではない。また、本研究では、6人(11.5%)において発症時に発熱はなく、実際には2-8日後に認めた。発熱症状が遅れて出現することにより、SARS-CoV-2に感染者の早期同定が困難である。さらに、無症状感染の場合は疑わしい症例で感染を特定することはより難しくなる。19,20  発症から放射線検査で肺炎と確定するまでの期間の中央値は5日 (3~7日)であり、それは、早期にまたは繰り返し放射線検査を施行することがSARS-CoV-2肺炎患者をスクリーニングするのに有用であることを意味する。4

血液検査では、リンパ球減少は、本コホート研究で重症患者の80%以上に見られた。リンパ球減少は、SARS-CoV感染重症患者の顕著な特徴である。というのも、SARS-CoVのウイルス粒子の標的侵入は、リンパ球の細胞質成分を損傷し、リンパ球が破壊されるからである。21 さらに、リンパ球減少は、MERS感染重症患者にも多く認められ、これはリンパ球のアポトーシスによって起きる。22,23 したがって、リンパ球のネクローシスやアポトーシスも、SARS-CoV-2感染重症患者においてリンパ球減少を誘発すると推測される。以前の研究では、SARS-CoV-2感染非重症患者において、35%が軽度のリンパ球減少しか有していなかった 2 と言われており、それは、リンパ球減少の程度がSARS-CoV-2感染の重症度を反映していることを示唆する。

人工呼吸器による換気は、重症患者にとって重要な支持療法である。PaO2/FiO2比は、中南病院に入院した患者に比べ、本研究の患者の方が低かった。5 本研究において生存者と非生存者でPaO2/FiO2比差はかなり大きく、これは、P/Fの比率が疾患の重症度および予後と関連していることを示唆する。気圧外傷については、SARS-CoV感染者で人工呼吸器をつけている患者に比べ、人工呼吸器を使用しているSARS-CoV-2感染患者では気圧外傷はそれほど重症ではないようだ。

本研究では、気圧外傷は1症例 (2%)で起きた。その患者は、1ヶ月近く入院しており、現在人工呼吸器を用いてECMOが挿入されている。SARS感染患者では、気圧外傷は、人工呼吸器を使用していた患者の約25%で発生した。14  本コホート研究で気圧外傷の発生率が低いことには、肺保護換気方法が中国本土で広く周知されていることが関連している可能性がある。24 同時に、SARS-CoV-2肺炎の患者を治療する際に、腹臥位およびECMOが使用されてきた。

明確なエビデンスはないが、患者の半数近くが抗ウイルス剤を投与され、半数以上が静脈内に副腎皮質ステロイドが投与された。ロピナビルで治療された患者は、中国臨床試験登録簿 (ChiCTR20000029308) にある現在行われている臨床試験から登録された。レムデシビルは、米国でSARS-CoV-2肺炎の最初の患者に使用された。4 レムデシビルについての試験は、SARS-CoV-2感染の軽度から中等度の患者 (NCT04252664)と重度の患者 (NCT04257656)の両者に対して行われようとしている。静脈内グルココルチコイド投与は、重篤なSARSまたはMERS肺炎の患者に頻繁に使用されていたが、その有効性は依然として議論の余地があり、SARS-CoV-2感染の治療についても、その使用は議論の余地がある。5,25 進行中の臨床試験 (NCT04244591)により、治療としてこれらの薬物の安全性と有効性が明らかになる可能性がある。

この研究にはいくつかのリミテーション(限界)がある。まず、重症患者はわずか52人しか含まれなかった。しかし、以前に発表された3つの研究よりも、サンプルの母集団ははるかに大きかった。1,2,5 私たちは、組入基準を満たした金銀潭病院のICUで治療された全重症患者をサンプルとした。この研究は、形式的な仮説によって行われたわけではなく、調査的な研究であるため、サンプルサイズの計算は行われなかった。ここで提示された結果が、より大きなコホート研究または今後の何らかの無作為試験につながることが望ましい。第二のリミテーションとして、ICUでの人工呼吸器の設定などの特定の情報がいくつか欠落していた。しかし、放射線検査、支持療法、生活状況、ICU入室から死亡までの期間に関するデータは確かである。第三のリミテーションとしては、これは後ろ向き試験である。この研究のデータにより、SARS-CoV-2肺炎重症患者の臨床経過および結果のを初期評価が可能になる。さらなる研究はまだ必要である。

結論として、SARS-CoV-2肺炎重症患者の死亡率は高い。非生存者の生存期間は、ICU入室後1〜2週間以内であることが多い。併存疾患およびARDSを有する高齢患者(>65歳)は死亡リスクが高い。重症のSARS-CoV-2肺炎は、特に十分な人員または資源が不足している場合、病院の救命治療資源に大きな負担をもたらす。

本研究の位置づけ

・この研究以前にわかっているエビデンス(証拠)

新型コロナウイルス疾患2019は、世界中の人々に影響を与えた。2020年2月11日までに公開された記事について、「2019年新型コロナウイルス」、「2019-nCoV」、「COVID-19」、「SARS-CoV-2」のキーワードを使用してPubMedを検索した。重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染者の疫学的および臨床的特徴を示す8つの記事を見つけた。しかし、これらの研究はいずれも、死亡リスクが高いSARS-CoV-2感染重症患者を特徴付けることには焦点を当てていなかった。

・この研究による付加価値

SARS-CoV-2への感染が検査で確認された710症例から52人の重症患者の臨床経過、臨床結果を報告する。35人 (67%)は急性呼吸窮迫症候群 (ARDS)を呈しており、37人 (71%)は人工呼吸器が必要であった。32人 (61.5%)は28日の時点で死亡しており、集中治療室(ICU)の入院から死亡までの期間の中央値は、非生存者で7日間 (IQR 3-11日間)であった。生存者と比較して、非生存者は高齢 (64.6歳 [11.2]対51.9歳 [12.9])、急性呼吸窮迫症候群を発症しやすい (ARDS; 26人 [81%]対9人 [45%])、人工呼吸器管理使用率が高い (30人 [94%]対7人 [35%])。

・得られる全証拠の意義

28日間でSARS-CoV-2肺炎重症患者の死亡率は相当高い。非生存者の生存時間は、ICU入室後1〜2週間以内であることが多くい。併存疾患およびARDSを有する高齢患者(>65歳)は死亡リスクが高い。重症のSARS-CoV-2肺炎は、人員や資源が足りない際に特に、病院での救命医療資源に負担をかける。

参考文献は原文を参照ください

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原文: Clinical course and outcomes of critically ill patients with SARS-CoV-2 pneumonia in Wuhan, China: a single-centered, retrospective, observational study

Xiaobo Yang*, Yuan Yu*, Jiqian Xu*, Huaqing Shu*, Jia’an Xia*, Hong Liu*, Yongran Wu, Lu Zhang, Zhui Yu, Minghao Fang, Ting Yu, Yaxin Wang, Shangwen Pan, Xiaojing Zou, Shiying Yuan, You Shang

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テーマの著者 Anders Norén