翻訳日:2020年2月25日
COVID-19に関する実験室のバイオセーフティガイダンス 原文PDF:2020年2月12日
1.はじめに
このドキュメントの目的は、COVID19に関する検体検査につき暫定的なガイダンスを提供することです
2.実験室のバイオセーフティ
研究所は適切なバイオセーフティの実践遵守を保証することが不可欠である。
ガイドラインは以下を参照
WHO Laboratory biosafety manual, 3rd edition (2)
キーポイント
•各研究所は、現地で(つまり各施設で)リスク評価を行う必要がある
•標本を処理および処理する場合、微生物学における基本的手順(good microbiological practices and procedures ;GMPP)に従う必要がある
•検体の追加検査を行う場合も感染物質として扱う必要がある
•非伝播性の検体作業については、以下を参照して扱われるべきである。
参照;WHOのBSL-2、実験室バイオセーフティマニュアル、第3版(2)
•高濃度の検体や大量の感染性物質は、適切なトレーニングを受けたもののみが実施すべきである
• 初期処理(不活性化前) の全ての標本は検証済みの生物学的安全キャビネット(BSC)で実施する必要がある
•非伝播性の実験作業(たとえば(核酸増幅テスト[NAAT] など)は、バイオセーフティレベル2(BSL-2)と同等の手順で実施する必要がある
•伝播的作業(たとえば、ウイルスの培養、分離、または中和アッセイ)は密閉空間で実施する必要がある(BSL-3)
•実証済みの適切な濃度の消毒剤を使用する必要がある。
•疑わしいまたは確認された症例からの患者検体はカテゴリーBとして、ウイルス培養物または分離株はカテゴリAとして輸送する必要がある。
• エンベロープウイルスに推奨される 実証済みの活性を持つ適切な消毒剤を接触時間、正しい希釈度で使用する
•すべての技術手順は、 エアロゾルや液滴の生成を最小限に抑える方法で実行する
• 詳細なリスク評価をおこない適切な個人用保護具(PPE)を、これらを取り扱うすべての実験室職員が着用すること。
3.最小限/不可欠な労働条件について
a. リスクアセスメント
リスク評価は、危険物への暴露リスクを管理する体系的なプロセスです
各プロセスステップのローカルリスク評価、つまりサンプルの収集、サンプルの受け取り、臨床検査、ウイルス分離に対するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などが含まれる。特定の危険は、エアロゾルなどのサンプル処理中の暴露; 目の中への飛沫感染、サンプルの流出; 感染性物質の流出などある。これらのリスクを評価し、特定されたリスクごとに、適切なリスク管理措置が必要となる
b. 非伝播的作業やPCR分析を含む含む日常的検査手順
COVID19陽性患者または疑い患者の検体における培養を行わない診断検査およびPCR詳細は付録1を参照
感染の可能性のあるすべての操作(水しぶきを引き起こす可能性のあるもの、感染性物質の液またはエアロゾル)はBSCにおいて適切に実施される必要がある。
詳細はWHO バイオセーフティビデオシリーズ(4)
c. 適切な消毒剤の使用
•COVID-19(エンベロップ)ウイルスは以下の消毒剤が有効だと考えられています。
■次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)
一般的な表面消毒の場合、100万分の1 [ppm](0.1%)
血液付着面の消毒には10000 ppm(1%);
■62–71%エタノール
■0.5%過酸化水素
第四級アンモニウム化合物; およびフェノール化合物
0.05〜0.2%ベンザルコニウムや塩化物または0.02%グルコン酸クロルヘキシジンは効果的が低い可能性があります。
•特に注意が必要なのは、消毒剤の選択だけでなく、接触時間、希釈および消毒剤が作られてからどれだけ経過しているかという点です
•ヒトコロナウイルスは金属、ガラス、プラスチックなどの表面に最大9日間生きる可能性があると考えられています(5)
d. ウイルス分離
国が別途決定しない限り、以下の基準を満たすラボでのみ実行する必要があります
•制御された換気システム(ラボへ向けての一方向性の気流)
実験室からの排気は再循環させない。再循環させる場合は、HEPA(高効率微粒子空気)フィルターを通す必要があります。
•専用の手洗い洗面台が実験室内にある
•感染性または感染性の可能性があるすべての材料は適切に維持されたBSC内で扱われなければならない
•実験室で働く者は以下の保護具を着用する;
使い捨て手袋; ソリッドフロントまたはラップアラウンドガウン、スクラブスーツ、または袖のついたつなぎ服で前腕を覆う; ヘッドカバー; 靴カバーまたは専用の靴; 目の保護(ゴーグルまたは顔面シールド)。
マスク(フィットテスト済み微粒子マスク、たとえば、EU FFP2、US 6 NIOSH認定N95または同等以上のマスク)
e. ウイルス分離に関連する追加のリスク調査
ウイルス変異により病原性および/または伝染性のリスクが増加する可能性
抗原性または薬物感受性の変化。
そして次のような処理はリスク評価前には行うべきではありません
•異なるコロナウイルスを共感染させること、またはウイルスを処理をする上で結果として異なるコロナウイルスが共感染すること
•抗ウイルス薬の存在下でのウイルスの培養。
•ウイルスの意図的な遺伝子改変。
f.感染した動物を扱う場合
WHO ラボバイオセーフティマニュアル、第3版(2)参照
4.梱包と出荷
内外で輸送されるすべての材料は二次容器に入れる必要があり、破損または流出の可能性を最小限に抑える必要がある。詳細は バイオセーフティビデオシリーズ(4)
参照資料
1.世界保健機関.コロナウイルス病(COVID-19)技術ガイダンス:監視と定義
2.実験室バイオセーフティマニュアル、第3版。ジュネーブ:世界保健機関; 2004
https://www.who.int/csr/resources/publications/biosaf ety/Biosafety7.pdf?ua=1
3.感染症の輸送に関する規制に関するガイダンス
4.世界保健機関.健康の強化
国際保健の実施によるセキュリティ規制(2005)。バイオセーフティビデオシリーズhttps://www.who.int/ihr/publications/biosafety-videoseries/en/
5. Kampf G、Todt D、Pfaender S、Steinmann E.
無生物表面上のコロナウイルスの持続性と殺生物剤による不活性化。J Hosp Infect。
2020; Feb 6. Pii:s0195-6701(20)30046-3。
doi:10.1016 / j.jhin.2020.01.022 [印刷前にepub]。
6.国際民間航空機関(ICAO)。危険物の安全な輸送のための技術的指示.航空による危険物(Doc 9284)
https://www.icao.int/safety/DangerousGoods/Pages/technical-instructions.aspx
7.エピデミックの管理:致死的疾患に関する重要な事項.ジュネーブ:世界保健機関。2018年https://apps.who.int/iris/handle/10665/272442
8.手指を洗う方法は?, ジュネーブ. 世界保健機関; 2006
https://www.who.int/gpsc/tools/GPSC-HandRubWash.pdf
*翻訳は現時点での暫定的な情報を元に作成されています。また セカンドチェックを行っていない 1次翻訳の状態です。本記事の利用については、各施設および個人の臨床医の判断と責任下で利用してください。