COVID19医療翻訳チーム(covid19-jpn.com)

有志医療者による海外論文の翻訳、医療情報

COVID-19パンデミック流行中の手足の霜焼け様病変

翻訳日:2020/05/16

原文:Chilblain‐like lesions on feet and hands during the COVID‐19 Pandemic

著者:ネレア・ランダ⑴、医師、マルタ・メンディエータ-エッカルト⑴、医師;パブロ・フォンダ・パスカル⑵、医師 及びテレサ・アギレ ⑶、医師

1 デルミテック・クリニック・グループ 皮膚科(スペイン・ビルバオ) 2  ゴメスウラ病院皮膚科(スペイン、マドリード) 及び 3  エチャベス消防センター・プライマリーケア医師(スペイン、ビルバオ)

図1:(a)つま先の霜焼け病変(b)つま先病変の詳細(c)踵の同様の病変

COVID-19パンデミックは、2019年12月30日の中国の重症肺炎患者から取り出された新型コロナウイルスSARS-CoV-2により引き起こされ、それ以来世界中に広がり2,056,054症例が診断され、134,177人の死者が出ている(2020年4月15日現在)。

臨床症状として広く言及されているのは、発熱、咳、頭痛、筋肉痛、無力症、無嗅覚症及び下痢1,2 ; しかしウイルスに関連する皮膚病変の所見はこれまで殆ど記述されていない。3-5

最近、スペインでの一連の症例が浮上し始め、多くの皮膚科医によって注目されている。その中には“Teledermasolidaria”と呼ばれる著者が属するグループがある。

この皮膚科医のグループは、スペイン皮膚科学と性感染症学アカデミー(AEDV)が利用可能にした申請を通じて自宅から遠隔での緊急の診断を実施してきた。

当初、一連の症例は我々個人の携帯電話を介して助言を求めてきて、自分達の写真を送ってくれた。その後、質問数が増加した。患者の殆どは子供(中央値13歳)及び若年成人(中央値31、平均36歳、範囲18〜91歳)だった。病変は最初赤みがかり、霜焼けに似た丘疹だ。その後、約1週間で濃い紫になり、丘は平坦になる。

最終的には、これらは特に治療を必要とせずに治癒するようだ。患者にはレイノー病や虚血の兆候が現れなかった。触診時に言われるような不快感や痛みがあるものの、皮膚病変は、目立った症状を示さなかった。

 患者の大半はコロナウイルスの症状を現さず、症状が現れても、軽度の発熱または充血だった。最高齢の患者(91歳)を除いて、重篤な呼吸状態を示した患者は無く一般的に健康だった。

我々が診たCOVID-19の皮膚症状として可能性がある霜焼け様の病変を持つ患者の例を本論文にて紹介することで、世界中の皮膚科医のコミュニティーと共有し、皮膚科医にこれらの所見を知ってもらいたい。

症例

我々の6人の患者群は複数の皮膚病変を呈し、特に図1–5と表1に示される霜焼けに類似したつま先、足の裏、指、四肢、及び/又は踵だった。我々の患者はコロナウイルスの症状が見られない無症状だった。3〜4週間前に咳、発熱または充血があったと話した人はわずかで、一部は危険な接触をしていた。2人の患者は数週間前の検査で陽性だった。

患者1

複数の皮膚病変のため、救急センターで診察を受けた喘息を抱える15歳の男性患者(つま先・踵に5つ; 図1a–c)。この患者はそれ以外では無症状だった。このタイプの病変を認識していたので、胸部X線写真を撮影し、軽度の両側性肺炎が発見された。この患者は、ヒドロキシクロロキン、アジスロマイシン及び予防的なヘパリンの投与による治療によって肺の陰影が消失した。驚いたことにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)並びに迅速抗体検査は陰性だった。

患者2

COVID-19に感染した父親を訪ねてから3週間後、指と踵の病変を呈した15歳の女性。彼女は、父親が病気になり、COVID-19検査で陽性となり、その結果病院に入院するまで父親と一緒に住んでいた。

彼女は皮膚の病変が現れる1週間前に鼻づまりと軽度の下痢を経験していた。他の患者と同様に病変は当初明らかに赤みがかり、触診可能で(図2a)1週間後紫斑になった。(図2b)

図2(a)初期の紅斑と踵の丘疹病変 b)1週間後の同じ病変

患者3

23歳の女性で、少し痒みを伴うつま先の病変のため携帯電話で診察した。彼女は皮膚病変の発症の3週間前に発熱と頭痛があったことを覚えている。我々はCOVID-19の検査を行う必要は無いと考えた。但し、彼女はCOVID-19感染リスクの高い地域に住んでいる。

患者4

44歳の男性で、つま先に特に触った時に若干の痛みがあると携帯電話で相談してきたが、それ以前に喉の痛みがあった。この患者に対しても検査を行う事が出来なかった。

患者5

プライマリ・ケアセンターからの91歳の男性で、つま先の皮膚の無症候性病変で相談してきた。3週間前のPCRでCOVID-19感染が確認されたため、病院に入院していた。

皮膚病変がいつ現れたか正確には分からないが、かかりつけ医が病変に気が付いた時は自宅で回復していた。

患者6

PCR検査によりCOVID-19感染が確認された後、つま先に病変を呈する24歳の女性。残念ながら彼女の病変の写真は無い。

表1 パンデミック時の小児および成人の霜焼け様病変の場所と症状

図3 小さな瘡蓋がある末端病変(左)

図4 こすると若干痛みがある紅斑性の病変(右)

議 論

確認する検査方法が無く、これらのタイプの病変とCOVID-19の関連を裏付けることが出来ない。

但し、現在の疫学的状況においてこれらの珍しい病変に関する数多くの相談は、関係があるのではと思わせる。スペインは現在、警報事態にあり、人々は3月14日以来自宅に隔離されており、風邪や外傷のような別の病因を起こしそうには無い。

 ティーンエイジャーと若者の間での同じタイプの損傷に関する同様の病変とニュースが他国(イタリアとフランス)でも同時に発生しており、流行曲線の時点と近い状態にある。6,7

 我々の仮説はこれらの病変は、COVID-19の晩期症状の可能性があるということ。この理論は病変がスペインでの感染ピークに達してから数週間後に現れたが、我々が知る限り、初期にではないと言う事実に基づいている。 これは、皮膚病変が現れる数週間前に同様の症状や高リスクの接触(病人または医療関係者)が報告された一部の患者により裏付けられる。我々は、それがウイルス量と感染力が低い時にみられる抗原抗体免疫反応ではないかと仮定した。       

実施されたPCR検査の結果、一部の患者で陰性であったとの事実は3つの理由で説明される:コロナウイルスに感染していなかった、偽陰性、又は症状がかなり後期にあったため陰性化していたかである。

皮膚科学学会において、これらの病変が組織学的に血管炎或いは微小血栓の存在を示唆するものなのかどうかが議論されて来た。COVID-19の重症患者の四肢虚血について、血液凝固能亢進の状態にある可能性が記述されている。8

同様に、指先の虚血は恐らくインフルエンザの合併症として記述されており、恐らくは免疫学的メカニズムとプロトロンビン活性化状態と関連している。9

図5 つま先の先端にみられる紅斑性の紫色の病変、同様の症状が 患者のもう片方の足にもみられた

公開されている症例は、重症度の判定を受けた皮膚虚血の所見を呈す成人患者の急性感染性なので、我々が紹介した患者の例と異なる。小児における紫斑性皮膚病変も他のウイルス感染との関連で記述されている。紫斑病病変に最も関与しているとされているのがパルボウイルスだが、異なるコロナウイルス(NL63)10による乳児期の他のウイルス感染との関連で報告された幼児期の急性出血性浮腫の症例を強調したい。 残念ながら、現時点ではこれらの病変が血管炎又は血管障害、微小血栓閉塞、皮膚型結節性多発動脈炎或いは霜焼け様の紅斑性狼瘡(ループス)であるかどうかを検証するための生検を実施する機会がなかった。

皮膚病変もコロナウイルス感染症の動物(特に猫において)に記載されていること、そして若い動物で病気の後期においてより頻繁に表れているのは興味深い。これらの場合、病変は異なり結節性膿皮症として現れるが、生検においては血管炎及び壊死として記述されてきた。11

我々の印象は仮説に過ぎないので、確認が必要だ。我々の提案は、確証が得られるまでの間、これらのタイプの病変に直面した際に、COVID-19との接触の可能性を調査する必要があり、すべての場合において、皮膚病変の出現前の数週間に発熱や風邪をひいていたかについて訊ねるべきである。

同様に、これらの病変は無症候性である患者での診断に役立つ。実際に、症例の20–78%の間で無症状12を示し、仮説が検証された場合我々の紹介した症例と一致する。

更にこれらの患者に相互逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査及びIgM -IgG血清学的検査を実行することに大きな関心がある。

これらの病変がCOVID-19に関連することが更に確認できるまで、我々は注意し、ソーシャルディスタンスを保ち、衛生習慣、自己隔離及び観察等の一般的な対策を推奨する必要がある。

謝辞

我々は、皮膚病変とスペインでのCOVID-19に関する計り知れない研究を主導してくれたクリスティーナ・ガルバン博士、並びにこの問題に関する更なる情報を見つけられる彼女の評判の良いブログ(ブログdermapixel)提供してくれたロー・タバーナー博士そして「皮膚のチャット」フォーラムの全員に対して感謝の意を表したい。最後に、パブロ・フォンダ博士は彼の優れた刺激的なイニシアチブ、Teledermasolidariaで表彰されるべきです。また亡くなられた方々及びご家族の方にお悔やみを申し上げます。

   論文問合先:マルタ・メンディエータ-エカルト、 医師(皮膚科)デリテック・クリニックグループ ビルバオ、スペインメール:mmendieta@dermitek.com

利益相反:無。資金源: 無。DOI:10.1111 / ijd.14937

参考文献

1  Phelan AL, Katz R, Gostin LO. The novel coronavirus originating in Wuhan, China. JAMA 2020; 323(8): 709. https:// doi.org/10.1001/jama.2020.1097

2  Huang C, Wang Y, Li X, et al. Clinical features of patients infected with 2019 novel coronavirus in Wuhan, China. Lancet 2020; 395: 497–506.

3  Recalcati S. Cutaneous manifestations in COVID-19: a first perspective. J Eur Acad Dermatol Venereol 2020. [Epub ahead of print]. https://doi.org/10.1111/jdv.16387

4  Fernandez-Nieto D, Ortega-Quijano D, Segurado-Miravalles G, Pinedo-Ortega C, Prieto-Barrios M, Jimenez-Cauhe J. Comment on: cutaneous manifestations in COVID-19: a first perspective. Safety concerns of clinical images and skin biopsies. J Eur  Acad Dermatol Venereol 2020. [Epub ahead of print]. https://doi. org/10.1111/jdv.16470

5  Mahe, A, Birckel E, Krieger S, Merklen C, Bottlaender L. A distinctive skin rash associated with Coronavirus Disease 2019? J Eur Acad Dermatol Venereol 2020. [Epub ahead of print]. https://doi.org/10.1111/jdv.16471

6   Mazzotta F, Troccoli T. Monday’s case: acute acro-ischemia in the child at the time of COVID-19. Eur J Pediatr Dermatol 2020.

7   Mollaret G. Covid-19: les dermatologues appellant a’ la vigilance sur les acrosyndromes et e,rythe’mes faciaux. Le quotidien du medecin 2020 Apr. Available from: https://www.lequotidiend umedecin.fr/specialites/dermatologie/covid-19-les-dermatologue s-appellent-la-vigilance-sur-les-acrosyndromes-et-erythemes-fac iaux.

8  Zhang Y, Cao W, Xiao M, et al. Clinical and coagulation characteristics of 7 patients with critical COVID-2019 pneumonia and acro-ischemia. Zhonghua Xue Ye Xue Za Zhi 2020; 41: E006.

9  Korytny A, Kibari A, Rosner I, Zisman D. Digital ischemia in a patient with recent influenza A infection. IMAJ 2018; 20: 446– 447.

10  Chesser H, Chambliss JM, Zwemer E. Acute hemorrhagic edema of infancy after coronavirus infection with recurrent rash. Case Rep Pediatr 2017; 2017: 1–3.

11  Redford T, Al-Dissi AN. Feline infectious peritonitis in a cat presented because of popular skin lesions. Can Vet J 2019; 60: 183–185.

12  Black JRM, Bailey C, Swanton CH. COVID-19: the case for health-care worker screening to prevent hospital transmission. Lancet 2020. [Epub ahead of print].

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