COVID19医療翻訳チーム(covid19-jpn.com)

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JAMA_重症新型コロナウイルス感染患者のケア

翻訳日:2020/03/29

原文:Care for Critically Ill Patients With COVID-19

表.COVID-19重症患者の治療

初期の報告では、COVID-19の感染が証明された患者のうちおよそ5%が集中治療を必要とするような重症疾患に関係していることが示唆された。CPVID-19の流行がどれだけ広がっている判明するにつれて、以前のSARS(重症急性呼吸器症候群)、MARS(中東呼吸器症候群)、鳥インフルエンザ(H7N9)、新型インフルエンザA型(H1N1)pdm09などの以前の感染症と同様に、この新規に生じた感染症への対策として、クリティカルケアが必要不可欠な要素となった。

 2019年後半に、中国武漢市で急速にCOVID-19の症例数が急速に増加するにつれて、医療制度がどれだけ早く適切なケアに取り組めるかが注目された。他の地域での致死率が0.4%であるのに対して、湖北省では2.9%と7倍であることにより、COVID-19の重症患者へのケアをする上での医療制度の能力の重要性が強調された。

 この記事では、人工呼吸器のある集中治療室は、いろいろな場所にあるわけではないし、多くの場所でその容量を超えるわけではないことを認めつつ、それに関する問題点を論じる。この疾患に対処するための能力にはこのように差があるが、患者の結果に実質的な影響を与えうる。

集中治療の必要性に関連する因子

 典型的な臨床上の特徴と、疾患の臨床像を認識することは、患者数の増加に備える上で、感染した患者に対しどのように最適なケアを提供するかを考える上で重要である。クリティカルケアが必要となった患者は、高齢である傾向が強く(中央値≒60歳)、主に糖尿病や循環器疾患などの併存疾患を40%に認めた。子供では一般的には経過観察され、中等症程度のことが多いが、周産期に暴露されると重大なリスクとなる。妊娠女性の重症患者はインフルエンザA(H1N1)pdm2009の際も関心事であったが、これまで妊婦の感染も少数あり中等症の臨床経過ではあり、限られた症例では臨床像を予測するのが難しかった。症状の出現からICU入室までの中央値は9〜10日であり、多くの症例では緩徐に増悪していくことが示唆された。集中治療が必要となった理由として最も多く報告されているのは呼吸器のサポートであり、そのうち2/3の患者は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の基準を満たした。

他疾患との差別化

 呼吸器系に感染するウイルスが無数に存在する中で、COVID-19と他の病原体、特にインフルエンザを差別化することは重要であり、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応と細菌培養のための検体が、上気道(鼻咽頭)もしくは下気道から(誘発喀痰、気管内吸引物、気管支肺胞洗浄液)採取されている。また示唆的だが非特異的な放射線画像の変化として、例えばCTでの肺野のすりガラス影などがある。公衆衛生上も臨床上も早期に診断できる検査を行うことは重要であり、患者のトリアージや感染対策の実装が可能となる。

臨床上の対応とその結果

 COVID-19の重症例でも呼吸不全を来すような多くのウイルス性肺炎と対応は変わらない(表)。重症疾患の患者の主要な特徴としてはARDSに発展することが挙げられる。ARDSは急性発症で両側性の浸潤影を伴う呼吸不全が特徴である。エビデンスに基づいたARDSの治療ガイドラインでは、ショックではない患者では、回復期に向けて厳格に水分管理、また同時感染する細菌に対して、感受性が判明するまでの間に、エンピリックに早期の抗生剤投与、肺保護戦略、腹臥位、低酸素血症が手に負えなくなった場合は体外的膜型人工肺(ECMO)も考慮することが推奨されている。

 侵襲的な換気方法へのアクセスが限られている場合や、患者が重症な低酸素血症になるのに先立って、ネーザルハイフローや非侵襲性換気は有用だろう。しかしこれら2つの交流量酸素システムでは、侵襲的換気のような閉鎖循環に比べて、医療機関内でエアロゾル化したウイルスを撒き散らすリスクは高い。ウイルスをまき散らすリスクの高さと侵襲的呼吸器を使用しない緩和戦略のどちらを取るべきかは、重要な解決すべき疑問となりうる。

 敗血症性ショックと、急性腎障害のような特定の臓器不全はCOVID-19関連の重症患者では一定の割合で生じ、死亡率の増加と関係するので、以下のようなエビデンスに基づいたガイドラインの推奨に従って対応すべきである。

 COVID-19に対する有効な抗ウイルス療法や、免疫調整療法が証明されていない一方で、ほとんどの重症患者は様々な標的のある治療法を試している。例えばノイラミニダーゼ阻害薬やステロイドである。そしてそれらを用いた患者の多くは臨床試験に組み込まれている。

 早期に発表された湖北省のケースシリーズでは、感染した患者の死亡率はおおよそ0.5〜4%であるが、入院が必要となった患者の死亡率はおよそ5〜15%であり、重症患者では22〜62%と死亡率の範囲は広かった。正確な死因はこの時点では不明確であったが、進行性の低酸素血症と多臓器不全がその理由だと推定されていた。感染者の数をより明確にするサーベイランスが増加し、地球上でより多くの感染が起こるにつれて、全COVID-19患者と、そのうちで重症な患者の中での死亡率はより正確に、より一般化できるようになった。

患者と医療従事者を守るために

 患者と他の患者、または医療者の間でウイルスを移しあって増加させることで院内でのアウトブレイクが生じるリスクを減らすことは極めて重要である。COVID-19に感染している疑い、または確定例の患者の間では少なくとも2メートル以上の適切な距離を保ち、有症状の患者には医療用マスクを使用することを考慮し、理想的には疑わしい症例は個室に入院させることを検討することも重要である。病院スタッフが標準、接触、点滴からの感染を防ぐことを確実にし、関連する個人用の予防具を使用することも含めて予防策を講じることは喫急の課題である。それらに加えて、気管内挿管や、診断目的に行われる気管支鏡検査のようなエアロゾルが生じるかもしれない環境にいる臨床家たちは、N95マスクや、同等のフェイスマスクとフェイスシールド、眼を守るためのゴーグルなどの空気感染予防策を用いるべきだ。

押し寄せる波への準備

 もし重症なCOVID-19の患者が増加した場合、集中治療の必要性の潜在的な需要に対してどう対応するのか最も良いか、地域ごとでの計画が作られなければならないだろう。さらに言えば、もし病院のベッド、呼吸器、ECMO、腎代替療法などの侵襲的な生命維持方法が足りなくなった場合に、明確な資源分配や政策が臨床家、政治家、一般市民や倫理学者などによって決められなければならない。これらの積極的な準備の指標は、多数の患者が実際に病院に押し寄せる前に整えられてなければならない。

主な解決課題

 COVID-19は、特に小児や免疫の弱い患者への影響は詳しいことがわかっていない新規疾患である。重症化のリスクファクターは(高齢者や併存症は重要な要素かもしれないが) 、未だ判然としておらず、ネーザルハイフローや非侵襲的陽圧換気などの支持的治療法の安全性も未だ不確実である。重症患者の死亡率でさえ明らかではない。効果を証明された特異的な治療戦略もなく、ステロイドのような一般的に使われている治療のリスクベネフィットも不明確である。

 多くの患者と治療状況を見ながら観察研究と臨床研究可能な限り行うことが重要である。重症患者の結果を統合することで、より現実に即したものとなり、データを統合する上で十分な結果となり、研究を領域間で比較する上で確実なものとなる。理想的には、適応しやすい基本的なデザインや、主要なプロトコルなどを通して、臨床試験は世界中の症例から最大限の学びがあるようにデザインされるべきだと考える。

結論

 新規に出現したウイルスのせいで、極めて短期間で、保健システムや社会は厳しく困難な状況に立ち向かうことになった。伝染を防ぎ、新規の感染が確立するのを防ぐことが第一の目標である。しかしながら重症化や死がCOVID-19に対する大衆の主な不安である。集中治療の領域では、毎年原因不明の重症呼吸器患者の治療を無数に経験する。COVID-19の重症患者の治療をエビデンスに基づいて研究する組織が設立され、それぞれの患者から学ぶことを確実にすることで、これから来る患者への助けとなることであろう。

*翻訳はセカンドチェックを行っていない1次翻訳の状態の場合があります。翻訳記事を利用する際は、各施設および個人の臨床医の判断と責任下で行ってください。 下記の「翻訳ポリシー・記事内容の利用について」のページもご参照ください。

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テーマの著者 Anders Norén