原文 https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/guidance-risk-assesment-hcp.html
翻訳日:2020年2月23日
III.2019-nCoV曝露リスクに基づくモニタリングの推奨事項
2019-nCoV感染症と合致兆候または症状を呈するリスク曝露カテゴリのいずれかの医療従事者は、職場に戻る前に医療評価のために確立された連絡先(公衆衛生当局または施設の労働衛生プログラム)に連絡する必要があります
1.高リスクおよび中リスクの曝露カテゴリ
高リスクまたは中リスクのカテゴリの医療従事者は、最後の曝露から14日間、すべての医療環境での労働の制限を含め、積極的モニタリングを受ける必要があります。発熱(測定体温> 100.0 o Fまたは主観的発熱)または2019-nCoV感染を示唆する呼吸器症状(咳、息切れ、咽頭痛など)*が発生した場合は、すぐに自己隔離し(他者から離れる)、地方または州の公衆衛生当局と医療施設に速やかに連絡して、さらなる評価のために医療提供者への相談と受診を調整できるようにします。
2.低リスク曝露カテゴリ
低リスクカテゴリの医療従事者は最後の潜在的な曝露から14日間、委任された監督下で自己モニタリングを実行する必要があります。このカテゴリの無症候の医療従事者は労働を制限されません。体温を1日に2回確認し、2019-nCoV感染症を示唆する呼吸器症状(咳、息切れ、咽頭痛など)に注意を払う必要があります*。彼らは家を出る前と出勤した際に、無熱で無症候であることを確認すべきです。発熱や呼吸器症状がない場合、出勤することが許可されます。毎日、仕事を始める前に検温と症状確認を医療施設で評価する必要があります。発熱した場合(測定体温> 100.0 oFまたは主観的な発熱)、または呼吸器症状がある場合は、すぐに自己隔離(他者から離れる)し、地方または州の公衆衛生当局または医療施設に速やかに連絡して、さらなる評価のために医療提供者への相談と受診を調整できるようにします。医療従事者の出勤予定日には、医療施設は、仕事を始める前に検温および症状を評価するよう考慮しましょう。あるいは、医療施設は、医療従事者が仕事を始める前に、体温と症状を労働衛生に報告させることを検討しましょう。コミュニケーションの方法には、電話か、電子もしくはインターネットによるあらゆるコミュニケーション手段が含まれます。
3.感染予防管理事項の全推奨事項を遵守する医療従事者
現在推奨されている感染管理事項(推奨されるすべての個人防護具など)を適切に遵守し、2019-nCoV感染者と長期間、密に接触する医療従事者を保護しなければなりません。しかし、使用または遵守の不整合が原因で認識されない曝露が生じた場合、低リスク曝露カテゴリ同様、医療従事者は委任された監督下で自己モニタリングを行わなければなりません。
4.該当するリスクの曝露がないカテゴリ
該当するリスクの曝露がないカテゴリの医療従事者では、モニタリングや労働の制限は必要ありません。
5.コミュニティまたは旅行関連の曝露
コミュニティの環境で2019-nCoVに潜在的曝露があった医療従事者では、CDC手引きに従って曝露リスクを評価する必要があります。医療従事者は施設の労働衛生プログラムにコミュニティまたは旅行関連の曝露があったか報告する必要があります。コミュニティまたは旅行関連の曝露がある医療従事者は手引きに従ってモニタリングを受けなければなりません。手引きによって高リスクまたは中リスクに分類される医療従事者は、地方または州の公衆衛生当局の定義に従ってモニタリングを受け、曝露後14日間は医療現場へ出勤することができません。2019-nCoVの症状と合致する兆候または症状を呈する医療従事者は、仕事に戻る前に、医学的評価のために指定された連絡先(公衆衛生当局または施設の労働衛生プログラム)に連絡する必要があります。
追加の検討・推奨事項
医療従事者、患者などが2019-nCoVに感染するリスクを同定し低減するために、潜在的曝露のある医療従事者が推奨ストラテジーを守り、医療従事者の労働制限を適切に実施し、接触追跡とリスク評価を行いますが、これはすべての状況で実践的で成し遂げられるものではありません。米国での2019-nCoVの地域感染は複数の地域で報告されています。この開発は、いくつかの推奨手段(すべての潜在的曝露のある医療従事者の接触追跡とリスク評価など)の医療ケア施設での実行が実践的でないことを意味します。地域感染の状況下では、職場やコミュニティにおいて、すべての医療従事者に、2019-nCoVに感染する一定のリスクがあります。接触追跡と遡及的なリスク評価への資源の投資は、他の重要な感染予防管理行動から資源を転用する可能性があります。施設は、認識される曝露の報告、発熱と呼吸器感染の症状の定期的なモニタリング、体調の悪いときは出勤しないことを医療従事者に求めるなど、日常的な行動をより重視する必要があります。施設は、体調の悪い医療従事者の症状の検査と評価の方法について策を講じるべきです。これには、毎日仕事を始める前に、医療従事者に発熱や症状の有無について報告させることも含まれます。
施設は、人員配置の改善策が尽きた場合、労働衛生プログラムと相談の上、2019-nCoV患者への曝露がある無症状の医療従事者の勤務続行の許可を検討することが可能です。こうした医療従事者は毎日、仕事を始める前に、体温と症状の有無を報告しなければなりません。施設は、マスクの供給が十分である場合、曝露のある医療従事者に曝露から14日間、勤務時にマスクを着用させましょう。医療従事者に2019-nCoVに合致する症状がみられる場合は、たとえ軽微であっても、患者のケア活動を中止し、マスクを着用し(未着用の場合)、仕事を終える前に監督者か労働衛生サービスに告知する必要があります。
*発熱は、測定体温> 100.0 o Fまたは主観的な発熱のいずれかです。発熱は断続的であったり、高齢者、免疫抑制、特定の薬(NSAIDなど)を服用している患者などでは認められない場合があることに注意してください。このような状況での患者の検査をするか考えるには、臨床的判断を使用する必要があります。2019-nCoV感染を示唆する呼器症状は、咳、息切れ、咽頭痛です。公衆衛生当局による評価に基づいて、低めの体温であっても(<100.0 o F)またはその他の症状であっても(筋肉痛、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、頭痛、鼻水、疲労など)医学的評価が推奨される場合があります。
*翻訳は現時点での暫定的な情報を元に作成されています。本記事の利用については、各施設および個人の臨床医の判断と責任下で利用してください。