COVID19医療翻訳チーム(covid19-jpn.com)

有志医療者による海外論文の翻訳、医療情報

CDC_接触の可能性のある医療従事者①☆

CDCの以下のリンクを翻訳しています。

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/guidance-risk-assesment-hcp.html

翻訳日:2020年2月23日 

背景
コロナウイルスは、大きなウイルスの属でその感染は人間や、ラクダ、牛、猫、コウモリなどの多くの異なる動物種にみられます。動物のコロナウイルスが人に感染しさらにSARS -CoV、MERS-CoVそして現在の2019-nCoVの可能性のように人の間で広がることは稀なことです。

初期の報告は、人から人への拡散は、2019-nCoVに感染した人への密接な曝露中に発生する可能性が最も高いと示唆しています。人から人への拡散は、他の呼吸器系ウイルスと同様に、主に感染者が咳やくしゃみをしたときに生じる呼吸器の飛沫を介して発生すると考えられます。これらの飛沫は、近くにいる人や、肺に吸い込まれる可能性のある口、鼻、または目に付着する可能性があります。また、主要な感染経路ではないと考えられますがウイルスに汚染された表面または物体に触れた後、自分の口、鼻、場合によっては目に触れることが、どの程度感染に寄与するかは不明です。

目的
この暫定手引きは、2019-nCoVに曝露する可能性のある医療従事者のリスク評価・モニタリングおよび労働制限の決定を支援することを目的としています。非医療環境での曝露リスクの評価と管理に関する手引きについては、旅行関連または一般環境における2019年の新型コロナウイルス(2019-nCoV)曝露の可能性がある人のリスク評価と公衆衛生管理に関する米国での暫定手引きを参照してください。非医療環境での手引きは、医療従事者に適用される移動、公共活動、および旅行制限にも適用されます。

医療現場では、脆弱な人々と広範囲にかつ密接に接触することが多くあります。そのため、初期症状を早急に見極め、感染源となりうる医療従事者から患者、医療従事者、および医療環境に訪問する人々や働く人々への伝播を防止するため、医療従事者のモニタリングと作業の制限に対しては保守的なアプローチがとられていました。この手引きで説明されている兆候と症状*は、医療環境ではたらいていない人への曝露を評価する際に述べられているものよりも包括的になっています。医療施設では、症状の評価と症状のある医療従事者(特にこの手引きで説明する高リスクおよび中リスクのカテゴリーに分類される医療従事者)への検査の閾値を低くする必要があります。

この手引きは、2019-nCoVに関して現在利用可能な限られた情報に基づいています。これらの不確実性の存在から、医療従事者の労働制限に関する推奨事項は、すべての感染を妨げたり、すべての潜在的なシナリオを予測したりすることはできず、新しい情報によって必要に応じて変更される可能性があります。

医療施設は、公衆衛生当局と協議して、リスクを割り当て、労働制限の必要性を判断するために、臨床的判断とこの手引きで概説した原則を使用する必要があります。CDCには、770-488-7100の緊急センターに電話することにより、引き続き相談することができます。この慎重なアプローチは、より多くの情報が利用可能になり、米国での対応ニーズが変化するにつれて、洗練され更新されます。

その他の資料
米国の医療施設で働いていない人のリスク評価と公衆衛生管理に関する手引きについては、以下を参照してください:旅行関連または一般環境における2019年の新型コロナウイルス(2019-nCoV)への曝露の可能性がある人のリスク評価と公衆衛生管理に関する暫定手引き。

2019年の新型コロナウイルス(2019-nCoV)の既感染または調査中の人(PUI)に対応している場合の感染予防ならびに管理については、以下を参照してください:2019年の新型コロナウイルス(2019-nCoV)の既感染または調査中の人への対応時の感染予防ならびに管理のための暫定推奨事項。

I.この手引きで使用される定義
自己モニタリングとは、医療従事者が1日2回体温を測定することで発熱をモニタリングし、呼吸器症状(咳、息切れ、咽頭痛など)に注意を払うことを意味します*。自己モニタリング期間中に発熱または呼吸器症状を発症した際に医学的評価が必要かどうかを判断するために、自己モニタリング中の医療従事者にはだれに連絡するかについて具体的な計画を提供する必要があります。

積極的モニタリングとは、州または地方の公衆衛生当局が、発熱または呼吸器症状(咳、息切れ、咽頭痛など)の症状を評価するために、曝露した可能性のある医療従事者との定期的なコミュニケーションを確立する責任を負うことを意味します*。高リスクまたは中リスクの曝露があった医療従事者の場合、CDCはこのコミュニケーションが少なくとも1日に1回行われることを推奨します。通信の方法は、州または地方の公衆衛生当局によって決定され、電話、電子的またはインターネットベースの通信手段を含むことがあります。

医療従事者の場合、保健部門と施設の両方が合意している場合、保健部門は医療従事者の医療施設の労働衛生または感染制御プログラムに積極的モニタリングを委任できます。医療従事者が医療施設のある場所とは異なる地域の健康管轄区域に住んでいる場合、管轄区域間の調整が必要になることに注意してください。

監督を委任した医療環境での自己モニタリングとは、保健部門と施設の両方が合意している場合、医療施設の労働衛生または感染管理プログラムによる監督下で、管轄の保健部門と連携して医療従事者が自己モニタリングをすることを意味します。医療施設は、医療従事者が勤務を予定している日の勤務開始前時点での検温や症状評価の実施について検討できる可能性があります。または、医療従事者から労働衛生に、症状がないことや体温について勤務開始前に報告させることを検討できる場合もあります。通信手段は、電話、電子的またはインターネットベースを含むことがあります。
労働衛生または感染管理担当者は、施設・自己モニタリング対象者・自己モニタリング対象者が自己モニタリング期間中にいる場所の地方または州の保健局との間の連絡先を確立する必要があります。このコミュニケーションにより、自己モニタリング期間中に発熱または呼吸器症状(咳、息切れ、咽頭痛など)*を発症した該当者の医学的評価計画への合意に至ります。計画には、発熱や呼吸器症状が発生した場合に、医学的に必要な場合は、事前に通知を行いつつ、対象者が労働衛生と地元の公衆衛生当局へ連絡する方法・指定病院への搬送手配する方法についての指示を含める必要があります。監督組織は、自己モニタリング活動をモニタリングするために、モニタリング期間を通じて医療従事者と連絡を取り続け、対象者に症状が発生した場合は適切なフォローを適宜行う必要があります。医療従事者が職場のある場所とは異なる地域の健康管轄区域に住んでいる場合、管轄区域間の調整が必要になることに注意してください。

医療環境における密接な接触は次のように定義されます:
a) 約6フィート(2メートル)以内の距離で長期間(患者のケアや訪問など; または医療施設の待合室もしくは待合エリアで座っていた)2019-nCoV感染者の近傍にいた。
または
b)患者の感染性分泌物または排泄物との保護されていない直接接触がある(例、咳がかかった、使用したティッシュに素手で触れる)。

密接な接触の定義について入手可能なデータは限られています。密接な接触を評価する際の考慮事項には、曝露時間(例:曝露時間が長くなると曝露リスクが増加する)、患者の臨床症状(例:咳により曝露リスクが増加する)、患者がフェイスマスクを着用していたかどうか(飛沫から他人や環境への汚染を効率的にブロックできる)、個人用防護具(PPE)の使用やエアロゾル生成製品の使用が含まれます。
長期暴露とされる時間を定義することは可能ではありません。しかし、感染リスクについてより多くのことが知られるまで、短時間(例えば、1〜2分未満)の曝露よりも長いものを長時間と考えるのが妥当でしょう。現在、短時間の接触は、感染を引き起こす可能性が低いと考えられています。しかし、上記のように、これは患者の臨床症状と接触のタイプに依存します(たとえば、患者が医療従事者の顔に直接咳をした)。これに関する情報は、追加の情報が利用可能になると更新されます。
リスクの層別化は、公衆衛生当局と相談して行うことができます。短時間の接触の例には、患者またはその分泌物/排泄物と直接接触することなく病室に短時間入室すること、トリアージデスクでマスクを着用していない患者と簡単に会話することが含まれます。詳細については、表1を参照してください。

医療従事者:本文書の目的上、医療従事者とは、患者または汚染された感染性物質(患者の身体からの物質;汚染された医療用品、デバイス、および機器。汚染された環境面; または汚染された空気を含む)に直接または間接的に曝露する可能性がある医療施設で勤務するすべての有給および無給の人を指します。この文書では、医療従事者には臨床検査室の人員は含まれていません。

*翻訳は現時点での暫定的な情報を元に作成されています。本記事の利用については、各施設および個人の臨床医の判断と責任下で利用してください。

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